スペルファイアとは



 1994年にTSRが発売した、AD&Dを背景にしたコレクタブル・トレーディング・カード・ゲーム。MAGICに比べるとはるかに安っぽい紙に、ルールブック・各種サプリ・モジュール・小説などを飾った数々の美麗な絵が印刷されている(経費削減のために書き下ろしていないとも言うな)。110枚単位で売っているスターターがFirstEditionからForthEdition、追加セットが12種発売されたが、1997年発売予定のFiends & Incantationsは永遠に予定まま闇に消えた。

ブースター全12種は以下のとおり

 はっきり言ってゲームとしてはいまいちだと思ってた。
 実際のところ欠点の多いゲームだった。コストという概念がないため、弱いカードを入れる理由は全くなく、完全上位互換の強いカードを投入すればいい。マジックに比べると、ルールが甘く(だいぶましになったけど)、解釈のしかたによって、結果が変わることも少なくない。それでも、AD&Dを背景にもち、ラリー=エルモアやクライド=コールドウェルといったイラストレーターによる美麗な絵に魅せられてプレイを続けていた(元ネタ知ってると楽しさ倍増だし)。
 ある日から複数でプレイするようになって、状況は一変する。いたストや桃鉄やカルドセプトを2人でやっても面白くないように、これは2人でやるゲームではなかったということに気づいたというわけだ。2人がそれぞれ自分のやりたいことをやるDeckを組むと、全くかみ合わず、一方的な展開でゲームが終わってしまうことが多いが、複数(4人がベストかな)でプレイすると、出る杭は打たれる理論によって、トッププレイヤーは集中攻撃を浴び、2人プレイのときは崩されなかったような防御もいとも簡単に破られてしまったりする(その裏返しとして、他の全プレイヤーからの集中砲火を浴びながら、粘りきって勝利したときの満足感は格別である)。また、2人プレイのときは、あのカードに対処するにはこのカード、という具合に外せないカードというのがどうしても出てしまうが、マルチならそういうカードを多少減らして、自分なりのDeckを組みやすい。また、同じカードが重なる可能性が高くなるため、(別記するRule of the Cosmosによって)人気カードほどプレイできなくなる可能性が高くなり、強いカードを投入すれば強いDeckになるというわけではなくなる。そこでのメタゲームの読みあいも熱い。
 それに、1Deckに同一カードは一枚という制限のため、MAGICほどお金をつぎこまなくてもいいというのも大きなメリットだった。もう本国でも(というか日本にはまったく存在してないと思うけど)売っている店は少なくなっているようだけど、かといってプレミアがついているというわけではなく(と思ったら高くなってる場所が多い?)、今が最後の買い時かも。身近で4人以上プレイヤーが集められる方は是非試してみては?まとめて買えば送料も割安になるし。僕も欲しい・・・・けど、今は身近にプレイヤーがいないしな。

 ところで、スペルファイアを語る上で欠かせないことのうちのひとつがChaseカードと称される、Very Rareなカードたちである。各ブースターの通常カードは100枚で構成されているが、それとは別にナンバリングされたチェイスカードが25枚存在する。これらのカードは絵ではなく写真が使われているのだが、これがTSR渾身の撮り下ろし。どこでどう間違ったのか、笑えるカードが多く、デザインチームの悪ノリぶりが窺える。NIGHTSTALKERSにいたっては、全カード実写という暴挙をなしとげている。もちろん、VeryRareなだけあって強力なカードも多いですよ。



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