スペルファイアとは
1994年にTSRが発売した、AD&Dを背景にしたコレクタブル・トレーディング・カード・ゲーム。MAGICに比べるとはるかに安っぽい紙に、ルールブック・各種サプリ・モジュール・小説などを飾った数々の美麗な絵が印刷されている(経費削減のために書き下ろしていないとも言うな)。110枚単位で売っているスターターがFirstEditionからForthEdition、追加セットが12種発売されたが、1997年発売予定のFiends & Incantationsは永遠に予定まま闇に消えた。
ブースター全12種は以下のとおり
1st Booster
基本セットを15枚単位でパックにしたもの。FirstEditionしか存在しない。一応Chase(後述)は存在するのだが、使用する価値のないものが大部分(でもDelsenoraは持っておきたい)。
RAVENLOFT
もともとは、同名のAD&Dのモジュール(シナリオ)が原典。人気が出たためいつのまにかひとつのワールドとして独立。日本では”暗黒城の領主”というタイトルのゲームブックが出ていた。ラスボスはStradVonZarovich伯爵。やはり、アンデッドの多いブースターになっている。全体的に見るとあまり使えない。Chaseがないのでパックを開ける楽しみが少ない。
DRAGONLANCE
ご存知ドラゴンランス。しかし、小説の邦訳版の出版開始が1987年、絶版になってからも時間がたってしまって、知らない人も多いかも。初期のブースターは弱くて、今レイストリンのカードを見てると悲しくなる。いないキャラも多く、ドラゴンランスの第二弾が出るに違いないと決めつけていたが、それも夢と消えた。いちばん使えるのはタッスルホッフ。
FORGOTTEN REALMS
これまたご存知フォーゴットンレルム(今はこちらのほうが有名かな)。しかし、かのエルミンスターもドリッズトも、今となってはてんで弱い。
Artifacts
次はスペルジャマーかと思っていたが、幸か不幸かそうはならなかった。ここまでが、初期のブースター。しかし、前3作に比べると強烈なカードも増えてきている。
Powers
サイオニシストとアバターが登場。Powerとは要するに神様のこと。
UNDERDARK
絵が地味。アンダーダークといえば、イリシッドことマインドフレイヤー。バルダーズゲート2の嫌な記憶が蘇る。
Runes & Ruins
TSRのGolden Ageを扱っているらしい。D&Dが元ネタのカードなんかも見かけられる。全体的によくわからず。通称ルンルン。
BIRTHRIGHT
新ワールドとしてバースライト追加。もともとバースライトキャンペーンというのは、生得の権利に基づいた地位・能力によってシナリオを進めるスタイルのゲームで、専用のワールドも用意されていた。D&D3Eまで引き継がれているのかは知りません。
DRACONOMICON
名前のとおり、ドラゴンばっかりのブースター。別ページに、僕が組んだ、これらのカードを中心にしたドラゴンデックがのっているので見てください。
NIGHTSTALKERS
シーフ&シーフアビリティ追加。あんまり使えない。一度はシーフデックをと思ってはいたのだが・・・・。アンデッドも強化されている。
DUNGEONS
ダンジョンカード追加。こうやって新しいカードカテゴリーやルールを増やしていってばかりというのはどうかと思うねえ。このブースターのみ、本国でも入手できる店を知りません。そんなに刷らずに、TSRはその歴史を終えたのだろうか。
はっきり言ってゲームとしてはいまいちだと思ってた。
実際のところ欠点の多いゲームだった。コストという概念がないため、弱いカードを入れる理由は全くなく、完全上位互換の強いカードを投入すればいい。マジックに比べると、ルールが甘く(だいぶましになったけど)、解釈のしかたによって、結果が変わることも少なくない。それでも、AD&Dを背景にもち、ラリー=エルモアやクライド=コールドウェルといったイラストレーターによる美麗な絵に魅せられてプレイを続けていた(元ネタ知ってると楽しさ倍増だし)。
ある日から複数でプレイするようになって、状況は一変する。いたストや桃鉄やカルドセプトを2人でやっても面白くないように、これは2人でやるゲームではなかったということに気づいたというわけだ。2人がそれぞれ自分のやりたいことをやるDeckを組むと、全くかみ合わず、一方的な展開でゲームが終わってしまうことが多いが、複数(4人がベストかな)でプレイすると、出る杭は打たれる理論によって、トッププレイヤーは集中攻撃を浴び、2人プレイのときは崩されなかったような防御もいとも簡単に破られてしまったりする(その裏返しとして、他の全プレイヤーからの集中砲火を浴びながら、粘りきって勝利したときの満足感は格別である)。また、2人プレイのときは、あのカードに対処するにはこのカード、という具合に外せないカードというのがどうしても出てしまうが、マルチならそういうカードを多少減らして、自分なりのDeckを組みやすい。また、同じカードが重なる可能性が高くなるため、(別記するRule of the Cosmosによって)人気カードほどプレイできなくなる可能性が高くなり、強いカードを投入すれば強いDeckになるというわけではなくなる。そこでのメタゲームの読みあいも熱い。
それに、1Deckに同一カードは一枚という制限のため、MAGICほどお金をつぎこまなくてもいいというのも大きなメリットだった。もう本国でも(というか日本にはまったく存在してないと思うけど)売っている店は少なくなっているようだけど、かといってプレミアがついているというわけではなく(と思ったら高くなってる場所が多い?)、今が最後の買い時かも。身近で4人以上プレイヤーが集められる方は是非試してみては?まとめて買えば送料も割安になるし。僕も欲しい・・・・けど、今は身近にプレイヤーがいないしな。
ところで、スペルファイアを語る上で欠かせないことのうちのひとつがChaseカードと称される、Very Rareなカードたちである。各ブースターの通常カードは100枚で構成されているが、それとは別にナンバリングされたチェイスカードが25枚存在する。これらのカードは絵ではなく写真が使われているのだが、これがTSR渾身の撮り下ろし。どこでどう間違ったのか、笑えるカードが多く、デザインチームの悪ノリぶりが窺える。NIGHTSTALKERSにいたっては、全カード実写という暴挙をなしとげている。もちろん、VeryRareなだけあって強力なカードも多いですよ。